「川口談義」は、2004年に川口市で開催されたアートプロジェクト「between ECO&EGO」の中での山岡佐紀子さんの参加イベントです。川口に住むご年輩の方々を招待、あるいは訪問して、参加者およそ20人とともに、様々な体験や思い出話などを拝聴するという趣向で、2004年1月から6月にかけて4回のトークプログラムが組まれました。

 山岡さんと川口の関わりの記録アートと呼べるかと思いますが、古き川口の有り様を後世に伝える意味でも、貴重なドキュメントと言えます。「eぎゃらりー川口」でのアーカイブをお願いしたところ、山岡さんから快く許諾をいただきました。 egk特集として保管させていただきますので、折にふれてお楽しみください。


第1回「芸術家の視線」2004年1月31日

話し手:岩田健さん(彫刻家、川口美術家協会会長)、土田裕さん(写真家)
参加話者:永瀬洋治さん(前市長)

大正のお生まれのお二人が子供時代を過ごされた「旧き良き時代」昭和初期の川口の思い出をお聞きしました。御参加くださった前市長の永瀬洋治さんは、岩田健さんの従兄弟でらっしゃいます。少しお若い世代ですが、当時の労働問題などに御詳しく、「談義」に知識のパワーを加えてくださいました。

目次/善光寺火災〜夜店の話〜子供の小遣い稼ぎ〜ヨイトマケ/お風呂屋さん〜吹き井戸〜鋳物工場の労働争議/馬糞(まぐそ)の話と馬占(ばせん)の話〜沼と埋め立て、汚穢の話〜ツェッペリン号の話/川口言葉

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第2回「本町金山町のおかみさんたち」

話し手:永瀬節子さん、福田好子さん他
参加話者:永瀬洋治さん(前市長)、土田裕さん(写真家)

この回は主に、戦争中と戦後の川口の人々の生活の厳しさや変遷について、背後から生活を守ってこられて女性の方たちのご記憶を中心にお話をいただきました。後半は、参加者からの質問をもとに、少し歴史的なお話もしていただいています。前回に引き続き、土田裕さんと永瀬洋治さんも参加くださいました。

目次/紹介、お嫁に来た経緯〜国防婦人会〜戦中戦後の貧しい食料事情/空襲の下〜もらったチョコの味/鋳物屋の仕事〜本町通りのにぎわいとその後〜戦後の鋳物産業の変化/女性の楽しみ/銀バスの話〜その火事〜ドクトルメジャーニ/日光御成街道と錫杖寺・善光寺/川口の食と健康

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第3回「伝説の鋳物師」

話し手:鈴木文吾さん(鋳物職人) 解説話者:土田裕さん(写真家)

鋳物は鋳物でも、工芸鋳物。梵鐘や聖火台などの規模も大きくて責任の重い仕事を、男一生の仕事として誇りと気概を持って打ち込んでこられた、川口の「伝説」の鋳物師、鈴木文吾さんをお訪ねしました。小学校時代からの同級生、土田裕さんが解説役で引き続き参加。気心の知れたお二人のやりとりが何とも味わい深いです。脱線話もまた楽し。

目次/少年時代〜弟子入り/戦時中:大島での修行〜結婚〜入隊/戦後/転機:天水鉢の仕事〜聖火台の仕事/心と技、そして健康/2つの郷土、水戸と川口

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第4回「川口の身体の健康と心」

東京育ちの寺島さんは昭和29年に27才で川口に。当時、川口は鋳物の全盛期。気風のいい職人さんたちに鍛えられ、励まされながら、川口医師として成長されました。鋳物業に非常に多い塵肺という過酷な病にショックを受け、それを労働災害として認定させるために奔走。定年後は、愛する鋳物屋さんたちの姿を残そうと写真を撮り始め、すでに2冊の写真集を出版されています。トークの際に展示した写真作品のうち12点も採録!!

目次/川口との出会い/鋳物工場の町/鋳物屋さんたちの健康状態/鋳物屋さんの姿を残すための写真/じん肺という病と労災認定/写真の説明/赴任当時の印象〜診療所の特徴/その他の病気/女性の生活と老い

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山岡佐紀子さんのWEBサイト
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