「入笠民芸」の頃


  長野県の入笠山に小さい別荘を持ったのをきっかけに……1978年から7年間ほど一時マンガ家を廃業、八ケ岳付近で民芸品(木製クラフト)製作で生計を立てようとした時期がありました。
  入笠山は観光客の多い山ではありませんでしたので、八ヶ岳周辺のペンションに販売をお願いし、多いときは50軒ほどのお付き合いがありました。
  娘が一人、二人、三人と増え、それぞれ物心ついて小学生になっていく頃で、夏休み期間は家族で過ごせるのですが、その前後4ヵ月ほどは山の中…三食完全自炊の単身赴任生活でした。
  その後、芳文社の古島當夫編集長のお世話で「まんがタイム・ファミリー」誌、「まんがホーム」誌などで、田代しんたろうとして再スタートするのですが、その時の「〜テレフォン・パパ〜 おとうさぁん」は、この時の単身生活の心情がベースになって生まれた作品です。