「川口市工芸会」に所属し、平成18年(2006)12月24日に亡くなられた、故高田次郎吉さんの個性豊かな陶芸作品をご紹介します。
63歳まで鋳物職人として戦後の活気溢れる川口鋳物産業の只中で働き続けた高田さんは、なんと70歳より陶芸を始めます。「自分の陶芸は職人の仕事で、芸術ではない」とおっしゃり、鋳物屋時代に使った、中子づくりのヘラで造形されていたといいます。職人の構えを崩さない方で、作業は緻密で几帳面だったそうです。また三越など東京の工芸展にもよく足を運び、名匠の作品を観ては自分で再現しようと挑戦され、独自の調合の結晶釉を使われていました。気に入った作品が出来ると皆に見せたがる素直さもお持ちだったそうです。
伊賀の土を使うおおらかで力強い陶風には、たくましい創造力が感じられます。火と土は鋳物と陶芸の共通項。鋳物職人として培われた物づくりの魂が、陶芸の世界でも独創的な作品を生み出したのでしょう。
《川口の創る力》の一つのお手本を見るようです。
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