第22回川口鋳金工芸作品展

須佐大宮神社念仏踊り 鉦(ブロンズ)
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念仏踊り 鉦 改鋳に関して
 私が、8才から25才までを過ごした島根県の出雲に、須佐之男命を主祭神とする、須佐大宮神社があります。そこでは、島根県無形文化財の指定を受けた雨乞いの念仏踊りが保存会の皆さんの力で保存継承されていますが、その念仏踊りに使われる「鉦(しょう)」の傷みがひどく、昨年改鋳の依頼を受けました。旧来の鉦の補充年代は「宝永八年、西村左近宗治作」「文政八年、西村上総大援宗治作」と読み取られ、歴史的な仕事と意気込みました。
 早速、川口鋳金工芸研究会の仕事として位置づけ、木型起こしと磨きを鈴木昭重、溶解・鋳造を白楽禎朗、造型・色付けを岸 洋という役割分担で、製作を開始。惣型法で造型し、紐付けはロストワックス、ブロンズ鋳造、表裏共にろくろ仕上げの磨き、素焼きに青銅色を軽く施し、鉄漿(かね)で色仕上げとしました。音も従来の鉦と変わることなく、充分な仕上がりだったと自負しております。
 銘につきましては、保存会のの意向に従い
《須佐大宮念仏踊り 出雲市佐田町須佐
平成十七年八月改鋳 川口鋳金工芸研究会》

といたしました。
 八月十五日には、念仏踊りが見事に奉納されたそうです。
(文責/岸 洋)